2005.1.6

純粋輪郭描画

描いてゐる繪、すなはち紙は全く見ずに、對象だけを見つめてその輪郭を丁寧に書き込んでいく。その練習を、やつてゐます。例示されたやうに、とてもそれが私の手ではないかのやうに、狂ってゐます。が、幾度かやつてゐると部分部分が寫實的に描寫されてゐることに気付きます。私は性格上、相當な数の自分のフィルタをかけて見て描く傾向が強いので(つまり純粋にかたちをとらへることが苦手なのです)、このやうに自分の手でその存在を作り變へることなく描くといふ作業は、普段と違つていゝものです。

はて、このやり方を何處かで習つたと思つたら、中学の時のT野先生でした。美術の時間、毎回生徒一人を壇上に立たせて十分間、紙を見ずに對象を描く。じつくりと、ゆつくりと鉛筆を慎重にスライドさせながら…。先生の言ひたいことが當時はわからず、まるで暗闇の中を歩くやうな作業でしたが、今半分くらゐは分かる氣がします。だから今やつてゐるんですけどね。もう一度あの頃に戻つてみたい、一日位。