水中

意識の交感が済んだのちに私たちは
白いレースのかゝつた丸テーブルに
向かひあつて、洋間の窓から
降りてゐる光に少しばかり眠気を覚え
回遊を繰り返している白い浮遊物に、
水の中にゐるやうな心持ちがいたしました。

どれだけ時間が經つたかわかりませんが
あなたの唇が動いたぶんだけ、時間が魚の死骸のやうに
白く乾いてゆくにも似た無機な音を届けたのでした。