葬送

Nikon FM2, Lomography 100 Color Negative

 

時間の葬送ごとに花添へて少女は奔り去ってった

まゝごとにゐた時間はその惜別に閉じられて、

わたくしの足元に色を少しづつ落として去ぬ

Nikon FM2 + Ai Micro-Nikkor 55mm F2.8S + FUJIFILM 業務用100, 2019-Feb

夜の想ひがれ果て、
雨を待つ虚ろひにわたくしは、
何処を見てゐるのか知りたいだけ

Nikon FM2 1st Roll

昨日のNikomatFTNの現像一本目に続き、同時に上がってきたのがNikon FM2のFUJICOLOR C200である。逆輸入品のフィルムだが、感度が200で使いやすいのと、36枚撮りで値段も500円しないのでコストパフォーマンスが高い。フジ業務用100の36枚撮りとこれは良く使った一年だったと思う。

Nikon FM2については購入に迷っていた頃から購入した際にかけて色々書いていたのでここでは割愛する。実際一本撮り終えるまで使ってみて、改めていいカメラだなあと感じた。むしろ、あの借りた時にここまで感じ入ることはなかったのは、写真を撮るという行為にまだ慣れていなかったからだと思う。仕方ない。今は感じるものがある。これがまたのち10年となると、また感じるところが違うのかもしれない。

露出計の操作はシャッターボタンを半押しするだけでONになるのが楽だし、入り切りを忘れなくていい。ただ、ファインダー内の露出計の表示は、個人的には針式にしてほしかったと思った。FM2は+〇-で表されているのだ。十分といえば十分だし、暗いところで撮る際にも見えるのでいいのだが、なんとなく。昨日今日曇り空の影でOM-1で撮っていたが、露出計の針が見えなくて難儀した。OM-1は広すぎて視野から外れ気味なのも理由かもしれないが。

文明堂さんからお迎えしたFM2は外観も綺麗、ファインダーも綺麗、おそらく元ユーザに粗野に扱われた形跡は全くない。私がうっかりぶつけたりして傷物にしてしまわないか不安である。今日年末の挨拶に伺った際に改めてお礼申し上げた。使い勝手、上がってきた写真を見ても、いいカメラでした、ありがとうございます、と。そして来年もよろしくお願いいたします。

上がってきた写真を何枚か。レンズは大体Planar T*50mmF1.4、Ai AF 35mmF2D。FM2用にと思って買ったMicro 55mmF2.8SはDfでテストしていることが多い。プラナーは本当に購入当時からよく使っている。一番使用回数多い。

 

露出テストがてら雨上がりの道路を撮ったけど、太陽の反射とアスファルトの質感がすごくよく出ていて、本当に吃驚した。でもなんで吃驚したんだろう。Dfでも同じ画は撮れる…と思うが、単純にそのときの光の加減が好みだったのだろうか。

 

適当にピントあわせて撮った割に、受話器にぴったりだったので気持ちいい。全体的にざらふわっとしているものの、電話機あたりが浮かび上がるように締まっているように見えるので、なんか好き。

 

これは35mmか50mmかどっちか忘れた。よく撮る交差点。色合い結構好きだなあ。C200の色か。

 

Planar、確かf2.8くらいだったか。絡み合い、ふわっ、ぽんぽんぽん、しゅーっとした感じで、好き。色乗りが結構こってりした感じになった。前SR505で椿か何かを撮ったのと似た感じ。確かあれもC200だった。

 

絵馬。受験の合格祈願が多いのだろう。内容は読み取れない程度にふわっと開放気味で撮った。

 

雨の日…尾山神社の神門で雨宿りをしていた。FM2はC200が入っているし、なんとかアンダーにならずに撮れるかなと撮ってみる。結果として満足。個人的に一本目の中で一番気に入ったかなあ。さっきのアスファルトのと悩むけれど。薄暗いので周辺が陰に落ち込んでいるのもいい。いいないいな、また写真撮りたくなってきた。(今日休みで午前午後とそれぞれ少しだけ撮ってきたのに)

次のエントリはSR505でLomo400のかなーと。

そしてNikon New FM2へ

「フィルムカメラというのを一度触ってはみたいんですよ」といったことを、社会人になって最初の会社にいた頃、お客さんとの雑談で話した。単身県外へやってきた私が始めた、数少ない趣味であるところの写真やカメラの話題に付き合ってくださる方との会話だ。話の流れで、じゃあ私のカメラを少し貸してあげましょう、と言われた。聞いてみるとNikon New FM2だという。そのとき、私はカメラの知識は殆どなく、確かD200を買ってそう経っていなかった。PモードやSモードでシャッターを切ってはなんか撮れたとか撮れなかったとか言っていた頃である。

今思うとあのお客さんもよくぞ私なんかに高いカメラを預けたものだ。まだ扱いもおっかなびっくりな新人に。

デジタルでもカメラの設定やらよくわからず振り回されていたくらいなので、結局フィルムの魅力に十分に気づかないまま、「いい体験をしました」という想い程度(あのときは楽しかったし、嬉しかった。しかし今の私がFM2を借りたとしたら、反応はもっと激しいものだったろう)で返却してしまった。フィルムも多分3本程度ですぐに返したと思う。丁寧に扱っていらっしゃったし、とても綺麗なものだったので、傷つけたり壊したりしたら怖い、という気持ちがかなり大きかったのは覚えている。しかしその造形の美しさやシャッターフィールの心地よさはどうしても心に残った。ずっと残っていた。

それからD200と長い付き合いがあって、段々身の回りに新鮮さを見失い、写真を撮ることも減ってしまった。実家に帰って犬を撮るくらいだった。今年の夏ごろ、とあるお客さんのものを撮影する機会があってD200を使った。購入してからもう12年は経つというのに、故障もせずに元気に動いてはいる。しかし使っていると、一度は予算もなくあきらめたフルサイズデジタル一眼レフへの憧れがむくむくと膨らんできてしまった。そこからは悩んだりもしつつ、月賦でDfを購入。完全に写欲が再燃した。

Df自体が、発売当時からなんちゅうかっこええカメラなんや…とほれぼれと見ていたが、値段も相応であったので完全にあきらめていた。しかし発売から5年たって、展示品がなんとか手の届くくらいの金額で販売されているのをみたとき、それは単にDfの偵察であったのだが、もうその場で買ってしまうことにしたのだった。DfはニッコールのMFレンズなどを使用するのにも向いている、というのも気になる点だった。比較的お手頃な価格で、いろんな単焦点レンズなどを楽しめる機体だ、と楽しみになった。

そして何度か出入りはしていた(が、結局買い物はほとんどしていなかった)カメラ屋さんに再び出入りし始める。ネットで見て気になったKonica C35 Flashmaticがどうしても欲しくて相談したのだ。店員のお兄さんや社長は親切丁寧にアドバイスしてくださり、県外からも探してきてくださった。それを購入したことがきっかけとなり、あれよあれよといううちに次々にフィルムカメラに手を出してしまった。

減っていく地元のカメラ屋さんたちに無くなってほしくないという気持ちがある。私のような金のない人間がどんな支えになろうか、という気持ちもなくはないが。現在自由にできるお金のほぼすべてがカメラ関係につぎ込まれているのはちょっとセーブしたいところ。

PENTAXやOLYMPUSなどそれぞれのメーカーのいろんなカメラの感触を手にして喜び、楽しんでいる。しかしNikonのフィルムカメラはやはり、あの最初に触ったFM2が欲しいと思った。お店にもそれを相談していた。店頭に1台ある、シルバーのFM2がどうしても欲しい。予算的に春くらいまで我慢するつもりだった。

しかしこれまた気になったNikomatFTNも欲しくなり、それを買おうかと相談したところ、FM2がどうしても欲しくて買うつもりなら、いっそそちらを買う方が予算的に賢いのではとアドバイスをいただく。確かに。悩みに悩んだ結果、FM2を購入することにした。2時間か3時間くらい居た気がする。

そのときにOLYMPUS PEN EEを下取りに出した。試し撮りなどして、ハーフカメラであるPEN Sやオートで撮れるC35との兼ね合いなどもあって、悩んだ結果持ってきたのだった。次のお客さんのもとに送った方がいいと判断。先日モルト交換もしてもらったばかりなのだが。

かくして、FM2がやってきた。機械式シャッターのフルマニュアル一眼レフ。なんでも写真学校の定番教材だったとか。十数年前とはまた違う心持ちでシャッターを切ることができる。これからも楽しみだ。Dfとレンズの共用ができるのもうれしい。写真はレンズを買ってこなかったので、とりあえず35mmを付けているところ。AFレンズだとちょっと微妙な感じ。シルバーリングのオートニッコールあたりを付けたい。

Twitterでアドバイスいただいたのと、先日ちょうどカメラ屋さんで試しにDfにつけて撮らせてもらった「Ai Micro-Nikkor 55mm F2.8S」がピンと来てしまい、翌日仕事が終わってすぐにカメラ屋へダッシュ。閉店ギリギリに購入して帰ったのだった。

さすがに年内はもうこれが最後の買い物だ、と思った。このときは。