亡くなられた守の方へと

寺の境内の夏は 日曜學校に蟬の聲
門の日陰に卓球台を置いてくださり
近所の小學生が集まりました

秋は金柑、植わつた樹から
もいだ実を幾度となく戴いたのを
何より覺えてをります

冬は水場に張る氷を探してまはり、
春の新緑を見ぬまに、
雪どけにしのびつ、
あひ哀しや あひ哀しや

冷えたる道

鬱蒼とした迷ひ子よ
滅多なことでは開かない、
この暗い、石づくりの冷えたる道
むきだしのガラスに
素足をつらぬかれようとも
歩きつづけるか

線香花火

みずたまりをはね、
うつるラムプは
雨に散らされ、
線香花火のやうに
さむざむしき音くずし、
虚ろな、
光源を私は見失ひ。
みずたまりの暗闇をともす。

2007.4.2

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空を仰ぐやうにして、春風を頬や髪に感ずる… 
足元の蒲公英が ひどく懐かしげに言ふのです
めぐりめぐつて、はじめまして そしてこれからもどうぞよろしく
私たちは、何世代も互ひに入れかはりあつて
かうして出遇つてゐるのですね、と
冬が過ぎれば春が來るやうに、またいつか會ひませう