石畳

雪ちらして石だゝみの鏡割れ、
あかる街燈にそむらんで、
ゆく君の薄きれたる裾尾の。

ゆふべの襟にかぐわしき、
点点と縫ひ跡たどるのみ。
ゆふべの燈りが殘るまど。

石畳

こひしくおもふ

鉄扉
Nikon Df + Planar T*50mm F1.4

フィルムに恋をしているか。
カメラに恋をしているか。
写真に恋をしているか。
恋しく思う。

私のここ10年ばかりのテーマは自分自身の心の動きをできるだけシンプルにとらえることである。好きなことに向き合うことを簡潔にしたい。本来それは無意識に行っているはずなのに、変に「考えて」しまって強張り、自分が何をしたいのか、何をしているのかわからなくなっていったことが苦々しく思われる。

私は作品を作るために写真を撮っているわけではないということに立ち返る。詩もそうだ。私は自分の心の動きを文字や言葉か、カメラを使った写真という媒体で一時的に固定化している。難しく考える必要はない。誰かのためにするのではない。純粋に自身のために、書いたり撮ったりする。しかしやり方を変えてもいい、試してもいい。

自分に自信が持てぬから、必死に自分の「好き」にしがみ付いてゐる。戀しく思ふもの、戀しく思ふひと。

フイルムに戀をしてゐるか。
カメラに戀をしてゐるか。
寫眞に戀をしてゐるか。
戀しく想ふひと。

あかい煉瓦は雨に黒く濡れてをり。

こひしくおもふ

瞬間、豫感

瞬間Nikon Df + Planar T*50mm F1.4

瞬間、秋風が抜けたやうな、
ごうとした豫感があつた。
白黒の煉瓦に挟まれた一本のがいとう。
時が止まつたこと。
いまや已む無しわたくしの心臓のおとが、
耳を掻ひ潜る無像のあしおとが、
早送りして現實といふ終点へと迫つて
風になつて飛んで行つた!
過去へと、ごうと飛んで行つた。
わたくしは元来た方を見て、空恐ろしく、
震えてゐるまゝ、人差し指のいたみ。

瞬間、豫感

するどい光

雨露たくわへNikon Df + AF-S Nikkor 50mm f1.8G

雨に濡れ、するどくなった光と陰が神妙に私に生い茂る。

逆さに映る私はどんどん現実から剥がれ落ちてく今の自分を無表情に見つめてゐる。

表向きを上手くやり過ごすことに躍起になって、自分自身の正しい方にレンズは向いてゐない。

空回りに滑り落ち、目の奥にばかり涙の貯まる夢か。

するどくなった光は暴れまはって夢ばかりに打ち付ける。

するどい光