oterart金澤2025、ご来場ありがとうございました。「やぎさんゆうびん」

10/5(土)17時をもってオテラート金澤2025は終了しました。多くの方に見ていただき、ありがとうございました。棟岳寺にて展示していた作品の紹介をいたします。

タイトル『やぎさんゆうびん』

展示キャプション

「やぎさんゆうびん」にある、それを童話としての無制限のエネルギーに拠った、宇宙のようにどこまでも続くふたりの交差。互いの手紙、互いの「書かれた言葉」は、永遠にたどりつくことなく、しかし続いてゆく。

「さっきの てがみの ごようじ なぁに」

<作品解説>童謡「やぎさんゆうびん」では、ふたりのやぎさんはお互いに手紙を送るものの、そのメッセージを読むことなく本能に従い食べてしまう。何度送っても、自分が書きしたためた想いは届かないままだ。童謡、長く読み継がれるおはなしには、そこだけで終わってしまわないだけのエネルギーがある。それはこの物語の形態とともに無限にループし続ける、三千大千世界、宇宙規模の「すれ違い」だ。

会場には白と黒のお手紙が各所に置かれている。しろやぎさんとくろやぎさんの、たどりつかなかった手紙たち。丸っこく可愛らしい文字のくろやぎさんと、しっとりとした文字のしろやぎさん。自分が食べてしまいながらも、相手には読んでもらいたい気持ちを綴っては送る。わかっているのは「お互いがお互いに伝えたいなにかを手紙に託して送ってくれている」ということだけ。しかしその送ってくれているという事実は、相手を想っているということを明確に伝えてもいるのだ。

なのでこの歌に感情的な評価を下すことはしない。ふたりにとって、完結していない物語なのだ。

展示空間の全体。ジュン制作によるメインの新作絵4点が壁掛け。空間全体に張り巡らせた赤い糸にはDNAの塩基配列を示す色紙が連なり、らせん状に撚られた赤い糸とふたりの「やぎさん」の繋がりを表現している。しろやぎさんとくろやぎさんの手紙は全部で50枚余り、ユキによって複数種の万年筆やインクで書かれた。アマヤギ堂イラストや写真を元にした切手も制作し、散りばめられている。

文机の上に展示していた2つのインク瓶には今回に合わせてそれぞれオリジナルラベルを制作。鴉羽の羽ペンも展示しました。二枚の水彩画はユキによるもの。

それぞれのやぎさんをイメージし、筆跡を書き分けた。

会場となった棟岳寺。