• この文はごんちゃんという人物が教えてくれたものです。

  • この話は、日本史の先生の叔母さんの一代記の一部である。
    なんかその叔母さんは豪傑だったらしく、先生は授業の流れの折にふれ、
    その叔母さんのエピソードの数々を紹介してまひた。
    戦後のすごく貧乏だった時代に中でも貧乏だった叔母さんが、
    女手ひとつで娘さんを育て上げるというストーリーで、
    この話はクライマックス部分のエピソードです。
  • 長く貧乏に耐えた叔母さんと娘さんでしたが、ついに幸運をつかみました。
    娘さんに縁談がきたのです。
    家柄も人柄もいいお金持ちな青年で、
    ようするに最高の縁談でした。
    叔母さんは貧乏ながらも持ち前のバイタリティでお金を集め、
    相手方に恥ずかしくないお見合いの席をセッティングしました。
    ところでその当時は貧乏な人には寄生虫なんか珍しいモンではなく、
    みんな虫下しを飲んでたそうです。
    飲むと文字通り寄生虫は「くだる」んですが、
    まれに苦しがった寄生虫が「のぼる」ことがあったそうな。
    まれに、といっても寄生虫を持ってる人の数がハンパじゃなかったので
    道端でゲーゲーやってる人を当時結構見た、と先生は言ってました。
    その「逆虫」が、大事なお見合いの席で叔母さんに起こってしまったんですな。
    ものすごい苦しいけれど、こんな所で虫を吐き出したら
    お見合いの席はむちゃくちゃです。叔母さんは気合で吐くのをこらえました。