瞬間、豫感

瞬間Nikon Df + Planar T*50mm F1.4

瞬間、秋風が抜けたやうな、
ごうとした豫感があつた。
白黒の煉瓦に挟まれた一本のがいとう。
時が止まつたこと。
いまや已む無しわたくしの心臓のおとが、
耳を掻ひ潜る無像のあしおとが、
早送りして現實といふ終点へと迫つて
風になつて飛んで行つた!
過去へと、ごうと飛んで行つた。
わたくしは元来た方を見て、空恐ろしく、
震えてゐるまゝ、人差し指のいたみ。