夕暮れどき
とろとろと、夕暮れは足早に、
けれどどこか、お互ひを惜しむやうに
海と山の向かふへと、残り香が潮風に吹き飛ばぬやう、
溶けるやうな時間をありがたう。
晩秋の色に染まる川面に私は映らないが、
私の眼には、誰かが映ってゐる。
やがて潮風は激しくなり、私を揺らして
耳を澄ませても
彼らの聲は聞こえなくなる。
帰らう、そして時間は電燈の頃へとうつるのです。
とろとろと、夕暮れは足早に、
けれどどこか、お互ひを惜しむやうに
海と山の向かふへと、残り香が潮風に吹き飛ばぬやう、
溶けるやうな時間をありがたう。
晩秋の色に染まる川面に私は映らないが、
私の眼には、誰かが映ってゐる。
やがて潮風は激しくなり、私を揺らして
耳を澄ませても
彼らの聲は聞こえなくなる。
帰らう、そして時間は電燈の頃へとうつるのです。