なにがし

「某○○」といふ名の挙げ方を、あらゆる文脈に於いて我々が使ふとき、そこには言外に相手への共感の強要や、勿論わかつてゐるだらうねといつた、伏せることで逆にその對象を強調したい思ひが垣間見える。

いや、すべてがさうだとは云はないが、それにしても私たちはその「ボウ」といふ音を發するとき、渦中の「某」からは距離を置いたふうな態度を取りながらも、その距離が自身の優越であるかのやうに振る舞ふ。