2005.9.6

夢の色は雨の色

あ、雨の色って好きですか
雨に色なんてない
そうでせうか
私はあると思ひます

雨の、一面うすぐらい雲に、覆はれた世界のグレー
あれが雨の色なんだと思ひます
多分好きな人はあまりゐないと思ひます
少なくとも私はさういふ人に會ったことがありません
でも聞きたくなるのです
もしかしたら、その人は私の氣持ちを解って呉れるかもしれないと
そんな風に希望を抱くのです
私の夢の中の色は、いつも雨の色です
どんなにいゝ夢も、厭な夢も、いつも雨の色です

雨の匂ひ、あれはアスファルトの匂ひが浮いてくるのだと聞きました
でも山や草木、海や川、もちろん道路や田んぼ道いろんな匂ひを浮き立たせてゐます
私は雨の匂ひが好きです
雨の日に出歩くことを特に好むといふよりは、雨の日といふ、そのものを好みます
勿論晴れた、すかっとした、そんないゝ天気、といふのも大好きです
けれど今日は雨の日が主役なのです
雨は私自身を空気に溶け込ませます
思ひ出も、思ひ出ですらないことも、雨は呼び起こします
雨は哀しいだけの象徴ではないでせう
少なくとも私にとっては (それぞれの人にその答えはあるのでせう)

あなたは、雨の色、雨の匂い、雨の日は、好きですか?