2005.7.28

仕事の途中でお客さんを車で送っていったのだけど、職場に戻るとき丁度夕陽が、もっともその名前を誇れるやうな姿になってゐた。私は運転していた車を脇に停め、それに見入った。夕陽だけならば、そこまで見入ることはなかっただらう。しかし視界の多くに広がる海が私の心を否応なしに揺さぶった。言葉もない。胸の奧、いや、喉元が急に締め付けられたかのやうな感覺に襲はれた。

海面に、赤赤とした筋がこちらへとのびている。振り返れば、私からは黒い影が路上へと延びてゐる。私は独りなのだと思った。風は止んでいた。

車に乗り込んだあと、私の脳裏に浮かんだのは夢に出てきたあの人だった。同時にやるせない気持ちになる。

夕陽が私を重くしてゆく。