冬の樹木

薄暗い二重の薬莢が、
灰のよな空をずつと固定してゐる
まばたきをするたび、
私のちいさな悲鳴が指を打つてゐる

樹々はごうごうとさわぎ、
ざわざわとうわさ話をし、
やがて葉もなくなった頃に
いつだつたかあんな人がゐたねと
懐かしむのだつた。

薄明(2020.2.20)

冬の樹木